「ケンジくん、ちょっといい? 実は……ずっと言えなかったんだけど」 「え、なに? もしかして……」 サクラは心臓が口から飛び出しそうだった。気づいてる? もしかして両想い? 「俺の消しゴム、知らない? ミッキー型の」 「知らんわーーーッ!!!」 気を取り直して廊下に出たサクラは、もう一度だけ勇気を振り絞った。 「ケンジくん、放課後ひまだったりする?」 「ひま! めちゃくちゃひま!」 「じゃあ一緒に……」 「コンビニ行こうぜ! 肉まん食いたい!」 サクラは涙目でうなずいた。そういう話じゃないのよ、とは、もう言えなかった。 夕暮れの帰り道、並んで歩きながらサクラは三度目の勇気を出した。 「ねえ、好きな人っている?」 「いるよ」 ドキッとした。 「長州力。プロレスラーの中で一番好き」 「人間で言ってたわ!!!」 「え、人間限定? ルール厳しくない?」 「当たり前じゃ!!!」 翌朝、サクラは自分に言い聞かせながら登校した。今日こそ絶対に告白する。絶対に。 「サクラ! 遅刻しそう! ランドセル忘れた!」 走りながら叫ぶケンジを見て、サクラは深呼吸を忘れた。 「高校生がランドセルを忘れる心配をするな!!!」 「いや、弟の分を届けるのを忘れたんだよ」 少しだけ見直した。そういうとこ、ずるい。 「あ、これおまえの水筒じゃね? 下駄箱に落ちてたぞ」 ケンジが差し出した水筒を受け取りながら、サクラは小さくつぶやいた。 こういうとこが、好きなんだよ。バカ。 次回予告:サクラが告白メモを落とす。拾ったのはケンジだった。読めなかった。字が汚すぎて。 ケンジとサクラ