人は「理性」で恋をすると思っているけれど、実はそうじゃない。恋の始まりは、もっと原始的で、もっと危ない「匂い」から始まっている。
たとえば、すれ違いざまにふっと香るシャンプーの残り香。心拍数が上がるその瞬間、脳内では「ドーパミン」と「ノルアドレナリン」が一気に放出され、あなたの理性はあっけなく奪われているのだ。
心理学者によれば、人は自分と“免疫遺伝子”が異なる相手の体臭を「良い匂い」と感じやすいという。つまり、本能が「この人の遺伝子を混ぜたい」と命令しているのだ。恋の危険は、ここから始まる。
既婚者なのに惹かれてしまう相手、なぜか忘れられない人。その正体は、あなたの脳が勝手に選び取った“相性のフェロモン”。どれだけ理屈で避けようとしても、鼻と脳が勝手に恋をしてしまう。
さらに恐ろしいのは、この「フェロモン反応」は近距離でしか働かないということ。つまり、リモート恋愛では生まれない。実際に会って、体温を感じ、呼吸を共有する――それが、恋を“発火”させる条件なのだ。
恋は、危険な化学反応。
ときめきの裏側では、ホルモンが脳を支配し、現実を曇らせ、理性を麻痺させる。
だからこそ、人は何度も危ない恋に落ちる。理性ではなく、本能が「もう一度あの匂いを嗅ぎたい」と命じるのだ。
――恋の正体、それは香りに隠れた、最も美しく、最も危険な科学実験である。
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