うちは自分の部屋におるけど、心臓の音がやけにうるさい。あの瞬間のことが頭から離れへん。彼氏の友達である翔太くんに、浮気してる現場を見られてもうたんや。
「お前、なかなかやるな。」
あの時、彼が言うた言葉が耳から離れへん。普通なら、怒るとか、幻滅するとか、そんなんが来る思てた。でも、翔太くんはただ笑ってた。その笑顔が妙に怖かった。
翌日、翔太くんからLINEが来た。「ちょっと話があるんやけど、空いてる?」とだけ書かれてて、返事する手が震えた。でも、無視するわけにもいかんから、「どこで?」とだけ返した。
待ち合わせたカフェで、翔太くんはコーヒー飲みながらうちをじっと見つめてきた。その視線が鋭くて、まるでうちの心の中を全部見透かされてるみたいやった。
「昨日のこと、彼氏には言わへんよ。」
その一言に、ちょっとだけホッとした。でも、次に続いた言葉で、全身が凍りついた。
「でも、その代わり、俺の言うこと聞いてくれるよな?」
「な、何言うてんの?」うちはなんとか冷静を装ったけど、声が上ずってた。
「いや、別に大したことやないよ。ただ、たまには俺とも会ってくれたらええなって。」
翔太くんの目が細められて、口元に笑みが浮かぶ。その表情が不気味で、なんか企んでるのが明らかやった。
「そんなん、できるわけないやん。」うちは強い口調で言い返したつもりやった。でも、自分でもわかるくらい声が弱々しかった。
「まあ、そう言うと思ったわ。」翔太くんはスマホを取り出して、画面を見せてきた。そこには、うちが別の男性と親密にしてる写真がはっきり映ってた。
「これ、彼氏に送ったらどうなるかな?」
その瞬間、頭の中が真っ白になった。どうしていいかわからず、ただ目の前の画面を見つめるしかなかった。
「だからさ、俺の言うこと聞いてくれたら、こんなもん誰にも見せへんよ。」
翔太くんの声は甘いけど、その裏に隠された悪意が痛いほど伝わってくる。このまま彼の言いなりになるしかないんか。それとも、彼氏に正直に打ち明けるべきなんか。どっちを選んでも、うちはもう元には戻られへん気がする。
「どうする?」翔太くんはコーヒーカップを置いて、またうちを見つめた。
うちは唇を噛み締めながら、答えを探してた。
「ちょっと考えさせて…」やっとの思いで言葉を絞り出した。
「ほんなら、期限は3日。3日以内に返事がなかったら、この写真は彼氏に送るからな。」翔太くんは、言うた後に立ち上がって、軽く手を振りながら店を出て行った。
3日。たった3日しかない。うちはその場で呆然と座り込んでしまった。どうすればええのか、まるでわからへん。翔太くんの提案を受け入れるなんて、自分を裏切る行為や。でも、この写真が彼氏に渡ったら、うちの関係は終わりやろう。
その日の夜、布団に潜り込んでも眠れんかった。頭の中は「どうしたらええんやろ」という考えでいっぱいや。翔太くんが言った「たまには俺とも会ってくれたらええな」って、具体的に何を求めてるのかもわからん。それを考えるたびに、胸がぎゅっと締め付けられる。
翌朝、鏡の前でぼんやりと自分の顔を見つめた。疲れ切った顔が映ってて、自分が誰なんかさえわからん気がした。
「何してんねん、うち…」
その時、スマホが鳴った。翔太くんからのメッセージや。「3日あるから、ゆっくり考えや。」まるで余裕たっぷりのその文章が、うちを追い詰めてくるように感じた。
このままやったら、どっちを選んでもうちは破滅する。でも、何か別の方法があるんちゃうやろか…?うちは震える手でスマホを握りしめながら、必死で頭を回転させていた。
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