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私達どうなるの|ねぇ…本当に我慢できるの?


「……ねぇ、本当に我慢できるの?」

気づけば、その言葉が口をついていた。
自分でも驚くほど、声が震えていた。

https://youtu.be/ct2FU_zOK8U


定時を過ぎたオフィス。蛍光灯の半分が落ち、あなたの席だけがぽつんと明るい。私は今日も残業のふりをしながら、あなたの帰り際を待ってしまっていた。中年の女が何をしているのか……そう思うのに、足は勝手にあなたの方へ向いてしまう。

「部長こそ、我慢できてないんじゃないですか?」

軽く笑いながら、あなたは私の目を覗き込んだ。
その距離が近すぎて、胸が苦しくなる。

「ちょっと……からかわないで。そういうの、本当に弱いんだから」

「弱いの、知ってますよ」

その言い方が余裕たっぷりで、私は思わず視線をそらした。
こんなの、若い頃にはなかった反応だ。年を重ねるほど、素直になれないくせに、心が揺れやすくなるなんて。

「今日は帰るんじゃなかったの?」

「帰ろうとしたら、部長が声かけるから」

「かけてないわよ」

「心の声が聞こえました」

「……もう、ほんとに」

思わず笑ってしまった。
あなたといると、どうしてこんなにも胸がざわつくんだろう。

「ねぇ、あのさ」

私は机に手を置いて、あなたに向き直った。

「こうやって二人で残ってると、良くないこと考えちゃうのよ。年齢とか立場とか、そんなもの全部どうでもよくなりそうで……怖いの」

「良くないことって、どんな?」

「……あなたの口から言わせる気?」

あなたは椅子から立ち上がり、ゆっくり近づいてきた。
蛍光灯の薄い光が、あなたの横顔を柔らかく縁取る。

「じゃあ聞きますけど」

「な、なに?」

「部長は……我慢したいんですか?」

胸の奥がズキンと鳴った。

「……したくても、できないのよ。あなたの前だと」

素直になった途端、あなたの顔がふっと緩んだ。

「なら、僕も無理ですね」

「ちょっと……そんな簡単に言わないでよ」

「簡単じゃないですよ。でも、隠せません」

静かなオフィスで、鼓動の音がやけに大きい。
あなたの視線が触れるだけで、肩が熱くなる。

「ねぇ……私たち、本当にどうなるのかしら」

「それ、部長が言い出したんですよ?」

「そうだけど……あなたも、考えてるんでしょ?」

あなたは少しだけ息を吸って、表情を和らげる。

「こうなる気がしてたんです。最初から」

「最初から?」

「部長が僕を見る目、ずっと同じじゃなかったから」

「……そんなの、気づいてたの?」

「気づかないわけないでしょう」

私の手に、あなたの指先がそっと触れた。
その程度の接触なのに、全身が熱を帯びる。

「ねぇ、私……」

言葉の続きが喉でほどけた。
あなたがほんの少し微笑んだから。

「部長こそ。我慢できるんですか?」

「……できるわけ、ないでしょ」

その答えを聞いたあなたは、まるで待っていたと言わんばかりに、そっと私の名を呼んだ。

止める気なんて、もう最初からなかった。
離れようとしても、心があなたを追いかけてしまう。

そして私は悟った。
――我慢なんて、最初からできるはずがなかったのだと。


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